ニホンピロウイナー死亡

おいらは競走馬としてのニホンピロウイナーを知らない．おいらの中で，ニホンピロウイナーといえば，その響きが懐かしくすらあるＭ３的「チャンピオンホース」輩出サイアーである．そして，おいらの中でニホンピロウイナー代表産駒といえば，ダンディコマンドである．当時，熱狂的Ｍの法則信者であった自分は，チャンピオンタイプ絶対主義だった．ダンディコマンドのデビュー３戦から伝わってくる闘争心と，血統から裏付けされる精神力からこの馬が最強スプリンターになることを想像してしまうのは仕方がないことだった．いまや関東リーディングの座にまで登りつめ，ヨシトミクオリティを誇る大先生がタイキフォーチュンで勝ったＮＨＫマイルも，皐月賞からの短縮で挑めば勝っていたに違いないと思っていた．

そこまで期待していたダンディコマンドだったが，足元の不安に悩まされ，休養明けで900万条件の雲仙特別を走る時が来た．休み明けが向かないとしても，格の違いで勝ってもらわなければ困るメンバー構成．高校生だったおいらは，友人にダンディコマンドの単勝馬券を頼んだ．そして勝った場合は，メインレースで同じくチャンピオンタイプであるマサラッキの単勝に転がしてもらうように頼んだ．結果的には両馬とも快勝したが，単勝配当は140円と210円．今から考えれば，馬鹿らしい馬券かもしれないが，あの頃ってば配当以外に求めているもんがあったんだよな．折り合い至上主義で，どの馬にも勝利の女神が微笑みかけうる芝競馬に呆れ，競馬を冷たい目で見るようになったのはいつからだったろうか．ニホンピロウイナー死亡というニュースを見て，そんなことを考えてしまった．頑張れナムラジーガー．